最終更新日 2024年11月24日 by taktlo
企業や労働者に必要とされている産業医
労働者が健康で快適な作業環境で仕事が行えるように、医師という専門的な立場から指導や助言を行うのが産業医です。
選任しなければならないのは従業員が50人以上の事業場であり、一般的な医師とは役割が異なります。
医師にかかれば診断を受けたり必要に応じて処方を出してもらいますが、産業医にはこういった役割はありません。
実際にどのようなことをしているのかを確認すると、衛生委員会・安全衛生委員会に出席して意見を述べるのが大事な役割です。
従業員が50人以上いればどこでも衛生委員会を設置しなければならず、業種によって設置しなくても良いという例外はありませんし、特定の業種においては安全委員会の設置も義務付けられています。
産業医 紹介より引用
月に1回の職場巡視もあり、環境に問題がないかのチェックも行われます。
確認すべき事項は多岐にわたり、職場の整理整頓から、温熱環境に至るまで実に様々です。
快適な職場環境を整えるためのものですから、冷暖房が設置されていることや事務所内で定められた衛生基準を守っているかがとても大切です。
衛生面ではトイレもチェックされることになり、AEDや消火器の場所まで調べて、何か問題があった場合には速やかに改善するように指導を行います。
原則としては月に1回ですが、条件をクリアすれば月に2回以上の職場巡視も可能になります。
健康管理や衛生管理を目的として、社員に向けて研修を実施することを衛生講話と言い、健康教育の一環として職場で積極的に開催するものです。
頻度や開催方法は特に定められていませんので、それぞれの企業が必要に応じて実施することになります。
衛生講話はそれぞれが抱えている問題に沿った内容になるのが一般的であり、課題に応じた内容になるように企業側との相談も必要です。
健康診断の結果をチェックすることも大事な役割であり、健康診断を受けた結果、異常の所見があると診断された社員に対しては就業判定を行って、就業制限や休職が必要と判断した時には意見書を作成します。
また、企業は産業医から健康診断結果報告書に押印してもらったら、監督署に遅延なく提出する義務があります。
ストレスへのチェックやフォローも行っている
現代社会ではストレスを抱える人がとても多いのですが、健康相談も受け付けていて、ストレスチェックの高ストレス者に対して指導や助言を行うのも大事な仕事です。
長時間労働面談の対象者も同様であり、リスクの高い社員へのフォローを行っています。
社員から見れば面談へのハードルが下がりますので、面談を受けやすいというメリットがありますし、企業側から見たらリスクの高い社員を早期の段階でフォローし、心身の調子を崩さないようにバックアップできるのがメリットです。
社員側から休職の申し出があった場合や、体調不良での欠勤・遅刻・早退が続いている場合には、休職面談も実施します。
基本的には社員側からの申し出があることが前提になりますが、体調不良で業務に支障をきたしていることを確認できれば、休職という選択肢をふまえて面談を行うことが多いようです。
休職をしていた社員は、回復後に復職することになりますが、その際には復職面談も行います。
職場復帰希望の社員が発生した場合にはそのまま希望通りに復職させるのではなく、本当に問題がないかを確認することが大切です。
ですから、産業医は社員へ復職面談を行い、病状の回復程度をしっかりと把握することにより職場復帰の可否を判断します。
ストレスチェックの実施者として計画・実施・終了の全てに関わっており、高ストレスで面接指導が必要だと判断したら高ストレス者面接指導を行います。
職場によっては長時間労働が続いていて心身共に影響を受けていることも多いんで、長時間労働を行う労働者に対する指導も重要であり、セルフケアのアドバイスも欠かせません。
環境のいい職場づくりに必要です
ほとんどが月1回の訪問でこれらの仕事を行っていて、嘱託産業医という形態をとっています。
月に1回となると非常に限られた時間になるため、優先順位をつけて重要な項目から手を付けていくことになります。
少ない時間で十分な対応をするためには企業側の協力も必要不可欠ですので、日頃から問題になっている部分をまとめたり、現状の課題を明確にしておくことが大事です。
依頼する内容を社員が考えることにより、健康への意識も高まって環境の良い職場づくりにも良い影響を与えます。
産業医は労働者が健康に仕事が行えるように事業主と労働者に助言を行い、必要に応じて策を講じるのが主な仕事です。
近年ではメンタル面でもバランスを崩して休職を選択する人も増加していますので、休職に関する相談が行えるのはとても重要なことです。
もちろん周りの社員のフォローも大事ですが、専門的な見地からしか伝えられないこともありますし、医師が相談に乗ってくれるだけでも安心できるという人は大勢います。
快適な職場環境が整っていれば、社員は健康を維持しつつ仕事にも集中できます。